真夏なのに、ブルブルと震えるほどの寒さで目が覚めた。
目が覚めると、僕は病院のベッドの上だった。
「ここはどこだ?」
寝ていても頭がクラクラしているのが分かる。
天井がユラユラしている。
「そうだった、僕はシンガポールで病気になり、入院していたんだ」
- さかのぼること12時間前
シンガポールで起業した友達を訪ねていた。
5年ぶりに会った友達はすっかりたくましくなっていた。体重も増えて一段と頼もしい。
自分でビジネスをしているので、考え方も、物腰も、大きく成長し見た目も・・・引き続き増加中だろうか。
僕がシンガポールの観光案内をお願いし、2人で大きなストリートでぶらぶらしながら買い物をした。
しかし僕は長旅のせいか、すぐ疲れてしまい、カフェでクレープを食べながらぼんやりした。
このとき、身体が熱っぽいなと気になっていたのだが、乗り物酔い、寝不足と時差ぼけのせいだと思っていた。
- この日からさらにさかのぼること二日前
僕はバンコクにいた。
カナダのカレッジでクラスメートだったタイに住む友人を訪ねて遊びにきていた。
彼はタイでは裕福な家庭に育っており、カナダ留学から帰国し、親が経営する旅行代理店を継いだばかりだった。
そんな彼にタイの人気のスポットをいろいろと案内してもらいタイを満喫していた。
タイには3日間滞在し、チェンマイという北にある都市にも飛行機で弾丸ツアーをした。
あっという間のタイ観光だったが、バンクーバーからきた僕にはタイとの気温差が20度以上もあったので、夏バテのようになってしまった。
カナダから来た僕にはタイの気温は暑すぎた。身体にまとわりつく湿度に半日でまいってしまった。
でもそこは若さと思い込みで、どうにでもなる!
という得意の強く信じればたいていのことはなんとかなるという偏った考え方で体調が悪いことに気づかないことにした。
そんなわけあるかい。
夏バテな体調ながら、次の目的地シンガポールへ向かうため、バンコクから空港へ向かうタクシーに乗った。
もともと乗り物酔いしやすい体質と夏バテ
そしてタクシードライバーのカーチェイスばりの頼もしい?運転で
わずか五分で
酔う
かなりダイナミックに酔う
(´ε` )
完全に
カーシック
車酔いがひどい
どうして人にはこんな機能がついているのだろうか?
この乗り物酔いの機能って人間に必要?
身体の内側がひっくりかえって外側になっちゃうんじゃないかという苦行を経て空港に到着した。
しかし、タクシーから降りても一歩も歩けない
スーツケースに体重を預け
かつてないほど腰を曲げた直角姿勢でスーツケースと一体化したまま
ガラガラとターミナルへ向かう。腰の角度は90度。
こんな状況で、飛行機なんて乗ったら大変なことになる
どうしよう
ヨタヨタしながらも迫るチェックイン時間
なんとかカウンターにたどり着くと
「この飛行機は故障のため七時間遅れになりました」
とのこと
おーっと!
まじかい
ラッキーなのか、アンラッキーなのか
七時間って長すぎじゃないか!
でも僕は車酔いで、もうろうだったので、とりあえず休めたらなんでもいいやと思い
スタッフに案内されるままに、移動すると
なんと、フライト時間まで乗客全員にホテルの部屋を提供してくれるという待遇
これは助かるなあー
いえーい
青ざめた顔の日本人男子が1人喜んでいたのだが
もちろん他の乗客はブーイング
別の便でいいから、はよ飛ばせや的な人も多い
空港から五分ほどのところにあるホテルに案内されたのはよかったのだが、ホテルは部屋が足りないため、まさかの相部屋
僕の相部屋の相棒はどこの国の人だか、見た目からはよくわからないおじさんだった。
このおじさんと、五時間もこの部屋に一緒かあ
大丈夫かなあ
と、不安が頭によぎるまもなく爆睡していた。
しかも五時間まるまるっと。
おじさんが悪い人ならぼくの荷物や貴重品を盗まれていたかもしれない
ごめんよ
おじさん
死んだように寝ている僕を気づかってロビーでぼんやりとしてくれていたおじさん
じつはいい人だった。ぬるいお水をくれた。
深夜になりようやくバスが迎えにきて、深夜のフライトでシンガポールへ飛び立った。
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