こんな話をきいた。
シアトルである女性がアイスクリーム店へ行った。
店内に座るタイプのお店ではなく、カウンターでアイスを受け取り、テイクアウトするタイプのお店だ。
日本にもあるサーティワンアイスクリームの席がないような作りのお店。
この女性は、コーンのアイスを注文。
金額は3ドル
レジ前の端末で支払いをする。
クレジットカードを端末にタッチする。
画面には3ドルの表示と
「チップはいくら払いますか?」
の表示
Square社が提供しているのはこうゆうやつ↓
テイクアウトのカフェではチップを払う必要ない。
着席しないお店ではチップは不要。
僕はそう理解していた。
マクドナルドでチップを払わないのと同じ感覚である。
冒頭のアイスクリーム店の彼女は5秒ほど考えて、チップはゼロを選択して会計を完了させた。
すると、レジの女性が深いため息と共に、彼女を睨みつけた。
そこまでは笑顔だった店員はふてくされた顔と態度に豹変。
アイスも乱暴に押し付けるように渡す。
いままでチップを払う状況ではなかったのに、こんなシーンがアメリカでは増えている。
チップがもらえないからと、あからさまに不機嫌になるのはそもそも店員としての資質に問題がある。
しかしチップがもらえないと、怒るということはチップがもらえるのが当たり前となってしまっているのである。
チップがもらえないと毎回キレているのだろうか?
3ドルに対してのチップは20%が相場では60セント程度である。
1ドル以下のチップ、いやチップを渡すなら5ドル以下は失礼であるとまで言われたことがある。
この場合の正解はどれだろう?
堂々と「チップなし」を選択するべきか、20%の60セントを選択するか、キリがよい1ドルなのか…
このようにアメリカで起きている、チップ払い過ぎ問題はTipflationと呼ばれている。
意味は「チップのインフレ」
@theskimm Why is #tipflation all over your FYP? Here’s theSkimm. #inflation #tipping #money #finance ♬ original sound – theSkimm
Customers are fed up with “tipflation”
(お客はTipflationにうんざりしている)
その理由の1つは支払い端末にある。
お会計する際、端末に合計金額の他に、「チップはいくら払いますか?」
とデフォルトで表示されているのである。
店員さんが目の前で、僕がチップを払うかどうか見ている。凝視している。
「あんた
いくらチップを払うんや?」
後ろに並んでいる人たちは僕がチップを払うのかどうか見ているかもしれない。
「え?
この人チップ払わないの?」
という無言のプレッシャーを感じる。
スタバでも同じだ。端末にはチップの表示が。
なんでもかんでもチップを要求しすぎなのである。
こちらのデータによるとカフェの利用客のうち23%はチップを払うという。
3ドルのコーヒーに1ドルのチップは33%である。
たかが1ドルと思うかもしれないが、3回払ったらコーヒー1杯分となる。
チップが30%にもなると、消費税の10%がお得に思える。
日本人はチップなしで丁寧なサービスを提供している(はずだ)が、米国の問題は雇用主が最低賃金以下の時給を設定し(これは合法)、チップをお給料の一部に最初から期待させている仕組みだ。
低賃金労働者は時給が低いので、その分をチップで稼がなければならない。
なにその仕組み。
なんかおかしい気がする。
結局チップは、レストランが従業員に支払う給料を減らしつつ、メニューに低価格を表示するためのカラクリだろう。
ドライブスルーでチップを要求されることがある。さすがにドライブスルーで働いている側も期待しすぎである。
ガソリンスタンドでもパン屋でも予期せぬ場所で「チップよこせや」が広がっている。
そのうち、道を歩いてるだけでチップを要求される時代になるんじゃないだろうか。
もはやチップという本来の意味は薄れ、税金みたいになってる。
Tipflationの反対のチップデフレになることは期待できない。
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物価高騰と万引きし放題がやばいぞアメリカ
物価高騰でチップを払うどころか外食を控える人も増えている。
米国はえげつないインフレで、物の価格が上昇している。そして、日本人には円安が追い打ちをかけている。
ニューヨークの大戸屋ではしまほっけ定食4800円(税、チップ込み)
ハワイで朝食にパンケーキとコーヒーを注文したら4200円(税、チップ込み)
ホテルでもないのに、なにこのプレミア価格。
ラーメンと餃子で5000円超の衝撃
https://encount.press/archives/355119/
僕は背伸びせず、串カツ田中へ行っておこう。
Tipの代わりにGratuityが使われることもあります。意味は同じです。
堂々と万引きする人々
米国が直面しているは物価だけではない。薬物中毒もひどいし、治安も悪化している。
カリフォルニアでは950ドル以下の万引きは軽犯罪となり、万引きの件数が増加。
万引きは刑が軽くなり、盗難と同じで警察は呼んでも来ない。
万引き犯を捕まえようとして射殺されてはかなわないので、万引き犯が店内で強奪しても会社は従業員に抵抗しないようにしている。従業員は自分のお店ではないので関与せずスルー。企業は従業員がケガをすると賠償責任が発生するためだ。
万引きを止める人もいないし、それを捕まえる警察も来ないという負のスパイラル。
グラセフのようだ。
ドラッグストアのチェーン店Walgreensがサンフランシスコからほぼ撤退しているそう。
万引きの被害がひどいので閉店
治安が悪いので閉店
という状態。
シカゴに住んでいた知人も、近所で銃声が聞こえることが増え、怖くなりシンガポールに帰国した。
アメリカの大学を卒業して、現地で就職したのに、それを諦めさせるほど治安が気になるアメリカってこの先大丈夫なのだろうか
でも大丈夫だ。代わりにカナダに行けばいいのだ!と思っていたら
カナダドルも110円超えの過去最高値になっている。
日本からの留学生の負担はどんどん高くなっている。
道を歩いているだけで、自動的に僕にチップが入ってくる仕組みってないですかね?