憧れの国だったカナダから他の国へ脱出する人が増えている理由とは

今日の英語フレーズ

 

カナダに11年住んだ経験から、いつだってカナダは最高の国で、(冬の憂鬱さ以外)世界の住みやすさランキングでも常に上位を誇るほどの魅力がある国だ。

留学生にもワーホリにも移住先にも一番のオススメな国だった。

「だった」と過去形なのは、いろいろと事情が変わってきているからである。

円安ドル高のため、日本からカナダ旅行へ行っても割高になってしまう。留学も同様に授業料の高さに驚く。UBC(university of british columbia)の授業料は年間500万円弱である。

州立なのに高額なのは留学生は現地生徒の4倍以上の授業料が設定されているためだ。

バンクーバーやトロントなどの都市部ではインフレと家賃の高騰で、平均収入層の労働者は貯金をする余裕もない状態である。

バンクーバーで生まれ育った日系カナダ人の友達が、去年フィリピンに移住した。

彼から教えてもらった移住の理由は納得するものだったので共有する。

 

カナダから脱出した4つの理由

 

家賃が高すぎる

トロントやバンクーバーなど都市部ではとにかく家賃が高い。

「誰がこの家賃を払えるのか?」という状態になっている。

家賃だけで給料の半分を使う人もいる。友達はStudio(ワンルームのこと)の小さい部屋に4年前は1600ドルを払っていたが、家賃はどんどん値上がりし、今では2200ドルを超えている。二人で住もうとすると最低1ベッドルームが必要となるが、それだと2500ドル以上になる。

今の為替レートでは27万7000円だ。

ダウンタウンなら30万円を超える。市民のため息を集めたら竜巻が作れるほど家賃が高くなってしまった。

月収が60万円でも半分が家賃に消えてしまうのである。

賃貸サイトをみると1ベッドルームは30万円くらいが相場である。

 

カナダの不動産マーケットは世界でもトップクラスの値上がりをしてしまったため、75%のカナダ人は平均的な価格の家を買うことができなくなってしまった。


ソース→ https://dailyhive.com/vancouver/canadians-cant-afford-to-buy-home

71%の人は家を買うために頑張って貯蓄しても、家を買える額の貯金はできないと悲観している。

2015年の一軒家の平均価格は450,000ドルだったが、10年で700,000ドルにまで上昇。今の為替レートで約7700万円である。

2年前のデータだが、バンクーバーは世界で3番目に家を買うことが難しい都市と評価されている。トロントは10位にランクインし、どちらもニューヨーク市よりも家を買うのが困難となっている。

なんとなくマンションが高そうな印象のシンガポール、ニューヨークよりも買うのが困難となっている。

なお、世界のランキングでみると日本の不動産はとても割安である。そのため海外から日本の不動産の買いが増えている。

「日本に住んでていいなー 羨ましいぞ」

と言われる。

いくら円安でも豊洲のインバウン丼(海鮮丼7000円)はさすがに高すぎてぼったくりである。


ソース → https://www.fnn.jp/articles/-/651516

 

ボロい家が2億円のカナダ

カナダではこうゆう家でも2億円で売りに出されている。
築74年である。

ソース→https://www.zealty.ca/mls-R2840117/5232-HOY-STREET-Vancouver-BC/

間違いではない。74年前に建てられた家だ。

 

こちらは築85年
第二次世界大戦勃発の年である。

Photo of 2698 E 5TH AVENUE, Vancouver, BCソース→https://www.zealty.ca/mls-R2846164/2698-E-5TH-AVENUE-Vancouver-BC/

さらに探すと95年前に建築された家を見つけた。
こちらも2億円弱である。

Photo of 5969 ORMIDALE STREET, Vancouver, BCソース→https://www.zealty.ca/mls-R2846892/5969-ORMIDALE-STREET-Vancouver-BC/

ボロくても売れるし、不動産マーケットは熱い。

移民ふやせや政策を、イケメンのジャスティン トルドー首相が進めたので、人口はどんどん増加しているが、住むところが増えていないので物件が不足している。

空室率は35年ぶりの低水準。


ソース→https://thoughtleadership.rbc.com/its-never-been-harder-to-rent-in-canada-vacancy-rates-fall-to-35-year-low/

空き部屋がほぼないため、貸し手は賃料を上げまくりだ。

家賃でこんなにお金がでていくなら、そりゃ海外に行きたくなるわけである。

カルガリーからバンクーバーまで毎週、飛行機で通学するUBCの生徒がニュースになっていた。そのほうがトータルでは安いということだ。

 

物価の上昇

家賃と同じであるが、物価が上がっている。

物価が上がっても、収入も連動して上れば購買力は変わらないので問題はない。

しかし、収入がそんなに大きく上がることはないため、物価高は家計に大きく影響する。

1リットルの牛乳が600円でも、年収が三千万円ならそれほど重要ではないが、年収が500万円だと牛乳の100円の値上げはしんどい。

バンクーバーのマクドナルドでビッグマックのセットを買うと1510円である。

日本人からすると高いがカナダでのマクドナルドの時給は1760円くらいなので、マクドナルドの価格は日本より20%くらい割高だ。

それよりもシカゴの空港でパンとソーセージだけが入った、手間暇ゼロを目指した!?おいしさの概念が皆無なホットドッグが1400円だったのが衝撃である。

一口食べてそっと目を閉じた。このホットドッグが、とんかつ和幸のひれかつ御飯と同じ価格なのかと・・・アメリカの味覚 終わってる。

海外に行くと、いかに日本の食が素晴らしいかを再確認できるので、試して欲しい。

 

治安悪化と薬物の蔓延

トロントなどの都市では犯罪、ホームレス、薬物使用、薬物関連の死亡が増加している。

ドラッグ事情はかなり深刻である。

バンクーバーのチャイナタウン付近にはこうゆうエリアがある。

映画でみるような非日常が日常になっている。

フェンタニルの危機が進行中で、ブリティッシュコロンビア州だけで昨年2,000人が薬物過剰摂取で亡くなっている。

車の窓ガラスを割られて、車内を物色する被害もあるため、窓ガラスを割られないように、ドアをロックしないという人もいる。もちろん車内にはなにも置いておかないのは鉄則である。

僕のようにゴルフバッグやiPhoneの充電ケーブルを盗まれる被害は、もはや事件でもないので警察にレポートしてもなにもしてくれないのである。

駐車場に停める場合は、車の鍵はロックせず、窓も全開にしておいたほうがいいかもしれない。というエリアもでてくるんじゃないだろうか。

屋根もとっぱらっておいたら、なお良しみたいな・・・わけはない。

なんて妄想してたら、ほんとにそうゆうことをしている人が米国にはいるそうだ。

窓どころかトランクまで開けっぱなして路駐している。

上の動画はこちら

 

どうぞ、中をみてください。なにもありませんよ。だから、この車は壊さないでくださいね。
ということだろう。

そんなことをしなければならない国には住みたくない。
とこれは米国の話でカナダではなかった。

なお、overdose の発音はオーバードーズではなく、オーバードースである。

日本ではなぜか、最後が濁音のズになっているのが気になる。

英語脳と日本語脳がごっちゃになって、たまに混乱するので、できれば英語のほうを正確に記憶していたいのだが、脳が老化しているので年々難しくなっている。

Reportは日本語では「レポート」なのか「リポート」なのかもう分からなくなってしまっている。

 

終わりが見えてきた医療制度

カナダの医療制度は、国民皆保険制度で無料で受診でき、一般的には多くの国で高く評価されていた・・・が、今はダメダメである。

良い面は、病院に行っても無料で診てもらえる点である。(その分税金が高いが)

しかし、無料ということは多くの人が病院に行けるので、とにかく待たされる。予約してても待たされる。需要が供給を上回っているので、深刻な症状を抱えている患者にとっては大問題である。

救急車で運ばれたとしても、まだ死なないなと判断されると、待たされる。

命が危ない人が優先されるため、友人は骨折で4時間待たされたことがある。

クラスメートは膀胱炎になり、緊急外来へ行ったときも7時間待たされて、その間ずーっと待合室のベンチでうなされていた。

見ていてとても気の毒であった。7時間付き添った自分も疲労がすごかった。

MRIは受けるのに最短2か月先である。

手術も順番待ちで、自分の順番が来るまで半年というケースもある。

待ってる間に死んじゃうんじゃ?と心配になる。

このように待たされる理由は医療従事者が不足しているからである。

同じ仕事なら労働条件の良いアメリカ行ってしまうことでさらに問題が深刻化する。

患者もお金に余裕があれば、自費でアメリカや国外の病院へ行く。

以上の4つの理由から総合的に判断して、国外へ脱出する人が増えている。

 

公式データによると、2023年の最初の6ヵ月間に約42,000人がカナダから出国し、2022年の93,818人、2021年の85,927人を上回り国外へ出る人の数は増加傾向である。

カナダは移民受け入れを積極的にしていたので、僕がカナダに住んでいたころ
immigrationというワードが聞こえてきたが、その反対のemigrationはあまり使われてなかった。

emigration」は「自国から他国へ移住すること」

日本からワーホリで海外へ出稼ぎに行くという話をアベマニュースでみた。

たしかに、ドルで稼いで日本円にするとその差は大きい。

今後、人口が減少していく日本では、このままだと経済が発展していく見込みは薄い。

不安をあおるのは良くないが、船はもう沈み始めている。

日本に来る観光客がモンクレールを着ていて、日本人はユニクロやしまむらを着ている。

という皮肉がXでバズっているのをみたが、あながち間違いではない。

品質がどうこうではなく、可処分所得の差が明確という比喩だ。

残念ながら、平均年収(中央値)がダントツに低い日本では、もう海外に余裕を持っていける人が減少している。

オーストラリア 586万円
日本 399万円
アメリカ 650万円

そしてなんとシンガポールの世帯月収は100万円を超えている。日本との差は2倍以上だそう。
とんでもねえ。

 

差が開くばかりである。

ドルで稼いで日本に仕送りするような時代がすぐ来るかもしれない。

 

 

 

 

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