めったに鳴らないほうのスマホに着信があった。見覚えのない番号からだった。
なにか嫌な感覚がして電話にでてみると、高校の後輩が亡くなったという知らせだった。
この後輩とは年末にメールで連絡をして、そのうち会おうと話をしていた。なのにもう二度とその約束が叶うことはない。会うことはできなくなってしまった。
電話でその言葉が耳に入った瞬間に心にショックが響いた。気持ちと身体は深い深い穴に落ちた。
二十歳のとき、自分は一生元気で生きていく、となんとなく思っていた。自分は死とは無縁の関係であり、そのことすら考える必要はなかった。若いときはそういうことを全く意識しない。
しかし、人は死に向かって生きている。こう言うとネガティブに聞こえるかもしれないが、いつかくるその日まで僕は与えられた時間と使命を全うするために、生命を維持している。
こう思えるようになったのは自分が年齢を重ねてきたからだ。この気持ちを二十歳の僕にどれだけ伝えたって同じレベルで理解することはないだろう。
毎日なんとなく楽しく生きていた。
突然、無縁に思っていた死が近くに訪れる。
すると自分は生かされているということに気づく。毎日がなにも問題なくやってくること自体が奇跡なのかもしれない。
その奇跡を当たり前のこととして受け取り、毎日いちいち考えることなんてしない。でも、病気になった人やもっと生きたかった人ならわかるだろう。
誰かの身代わりになることはできない。だからその分、僕がしっかりと生きることが大切なんじゃないか。
天の上から見ている後輩に届くと思う。
先に行ってしまったけど、またいつか一緒にたくさん話ができる日まで待ってて。
今の気持ちをここに残しておく