仕事帰りに車を運転中、電話がかかってきた。
「おめでとうございます」
「あなたが応募したフロリダクルーズ10日間が抽選の結果当選しました」
えっ、なんのこと？
考えること数秒
（マジ？マジですか？）
動揺を抑えきれず嬉しさが込み上げてきた。
やったー
２０万円相当のクルーズ旅行が当たってうれしくないわけがない。
急いで車を停め、話をじっくりと聞き漏らさないように集中した。なんたって相手は英語でしかも早口だから話をきっちりと聞かなければならない。
～～～話は3日前にさかのぼる～～～
夏になると毎年リッチモンドではチャイニーズの夜店を中心としたナイトマーケット（夜市）が開催される。
そこで、チキンテリヤキを食べながらキョロキョロ歩いていたときに、配布されていた旅行が当たる応募用紙に記入した。
特に何も考えずに僕はフォームに記入した。そしてすっかりそんなことを忘れていた今、この瞬間に電話がきたのである。
（車を道路の脇に停めてメモを取り始める僕）
オペレーター 「当選した旅行の権利をキープするために50ドルが必要です」
（そーいや今、国際線に搭乗するとオイルチャージがとられるもんね）
オペレーター 「これをお支払いただけば、旅行の権利が確定します」
（おいおい2000 ドル以上の旅行なんだから、もちろん50ドルくらい払うよ）
オペレーターにクレジットカードの番号を伝えた。
―3日後
クルーズ旅行のパッケージが届いた。 ワクワクしながら中身を確認する。
表紙にはビーチで横になり、楽しげに笑う水着姿の白人女性。
「テンション上がるなー」
同封されていたツアーのガイドブックを1ページずつ読んでいった。
ツアーの内容を説明すると
・フロリダ発のクルーズツアー10日間
・映画はシアターで見放題
・プール、カジノ、テニスコートまである。
・部屋は少し狭いが清潔感が感じられる。クイーンサイズベッドが一つあるらしい。
「すごいよ。 うん すごい！」
もちろん食事は毎日3食付。
無料なんだからこれだけでもう十分。
ダイビングがオプションなんてまったく気にならない。
しっかしすごいのに当選したなーと嬉しさがとまらないままパンフレットを下のほうへ読み進めると
こう書いてある
「以上すべて、お一人様分になります」
え？
1人分って
どういうこと？
ペアでご招待だったでしょ？
焦りながらガイドブックをさらによく読んだ。
「おめでとうございます。このたびはツアーの権利に当選いたしました」
権利！？
ということは当選したのは権利だけ？
クレジットカードで支払った請求書が同封されており金額の総額を見て血の気が引いた
1600ドルとなっている。
50ドルのはずなんですけど。どういうこと？
しかもバンクーバーからフロリダ間の飛行機代は含まれていない。
バンクーバーからフロリダまでの往復の飛行機代金を自分で払ったらいくらかかるんだ？
これはなにかおかしい
「絶対おかしいぞ」
騙されているのかもしれない。
